プレコンセプションケア(妊娠前の健康管理)
プレコンセプションケアとは
プレコンセプションケアとは、若い男女が将来のライフプランを考えて、日々の生活や健康と向き合うことで、次世代を担う子どもの健康にもつながるとして、近年注目されているヘルスケアです。早い段階から正しい知識を得て健康的な生活を送ることで、将来の健やかな妊娠や出産につながり、未来の子どもの健康の可能性を広げます。
いまは妊娠や出産を考えていなくても、プレコンセプションケアを実施することで、いまの自分がもっと健康になって、人生100年時代の満ち足りた自分(well-being)の実現につながります。
具体的な取り組み例 〜できるものからひとつずつ行ってみましょう〜
適正体重を維持しましょう
栄養不足による若い女性のやせ(BMI 18.5未満)は、貧血や将来の骨粗鬆症の原因になります。
一方、栄養過多や太り過ぎ(BMI 25以上)は、将来、糖尿病や高血圧などさまざまな病気のリスクを高めます。
やせも肥満も、不妊や妊娠・出産のリスクを高めます。男性の肥満も不妊のリスクを高める報告があり注意が必要です。
・BMIを計算してみましょう 【標準の範囲】BMI 18.5〜24.9(理想値は22)
BMI=体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)
(例)体重57Kg、身長160cmの場合、BMI=57÷1.6÷1.6=22.26
適度な運動をしましょう
適正体重の維持に積極的な運動は欠かせません。血流がよくなり、筋肉量が増えることで代謝も高まります。運動はこころの状態にも良い影響を与えます。
- プレコンセプションケアでは、1週間に150分程度の運動をめやすとしています
(早歩き、お家ヨガ、テレビ体操、筋トレなど)
ストレスと上手に付き合っていきましょう
現代社会はストレスが多く、こころの不調を抱えることもあるでしょう。まずは自分がストレスを感じていることに気づくことが大切です。また、普段から自分なりのストレス解消法を見つけておきましょう。体を動かす、腹式呼吸をする、今の気持ちを書き出してみるのもおすすめです。困ったときには、専門の窓口に相談しましょう。
【相談方法・窓口】厚生労働省ホームページ(困った時の相談方法・窓口)
バランスの良い食事を心がけましょう〜主食・副菜・主菜・乳製品・果物を揃える〜
栄養不足による若い女性のやせは、貧血・肌荒れ・骨密度や筋力の低下などを引き起こします。月経不順や不妊、低出生体重児の原因になるなど、将来の妊娠・出産にも影響を与えます。
タバコをやめましょう(受動喫煙も避けましょう)
タバコはがん・心臓病をはじめたくさんの病気を引き起こします。また男女ともに不妊症のリスクが増加し、特に妊娠中の喫煙や受動喫煙は流産、早産、周産期死亡、低体重を引き起こす可能性があります。赤ちゃんが生まれた後も乳幼児突然死症候群のリスク因子となるなど、その影響はきわめて広範囲です。WHOは妊娠中の電子タバコの使用はリスクがあるとしています。禁煙外来を活用して、いますぐに禁煙しましょう。
お酒は適量にし、妊娠を考えたときから控えるようにしましょう
妊娠中にお酒を飲むと、アルコールは胎盤を通って赤ちゃんにも影響し、胎児性アルコール症候群の原因になります。「この量なら大丈夫」というものは確立していませんので、妊娠を考えたときからアルコールは控えるようにしましょう。妊娠中は禁酒が原則です。
- 胎児性アルコール症候群とは、妊娠中の飲酒が原因で赤ちゃんにさまざまな症状が現れる病気です。妊娠初期に発症すると目や鼻などの奇形、妊娠中期では胎児の発育不全や中枢神経障害がみられると言われています。このほか、発育の遅れ、精神遅滞、多動症などが現れることもあります。
感染症から自分を守りましょう
性感染症
若い人の間で、性的接触を介して誰もが感染する「性感染症」が増えています。感染しても無症状であることが多く、治療に結びつかないケースが多く見られます。知らないあいだに他の人にうつす可能性があるため、セックスの際にはコンドームを使用して、感染を防ぎましょう。
また性感染症の中には、不妊の原因になったり、妊娠中にかかると赤ちゃんの健康に影響を与えるものがあります。思い当たることがある人は、婦人科・泌尿器科で相談して、しっかりと治療することが大切です。パートナー間で感染しあうピンポン感染を防ぐため、カップルは一緒に性感染症のチェックをしましょう。
全国の保健所では、無料で性感染症の相談をすることができます。
群馬県ホームページ(HIV・エイズ、性感染症に関する無料相談・検査について)
ワクチンで予防できる感染症
妊娠中にかかると、赤ちゃんに影響を与える恐れのある感染症があります。感染症から完全に身を守ることはできませんが、風疹、麻疹、水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)はワクチンを打つことで予防できます。
ただし、妊娠中は接種できず、妊娠していなくても接種後2ヶ月は避妊が必要となります。母子手帳でワクチンの接種歴を確認して、必要であれば妊娠を考える前に接種しましょう。妊娠中、とくに妊娠20週までに風疹に感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症し、心臓の病気や白内障、難聴を患うリスクが高まります。
風疹は本人も気づかないうちにかかっていることがあるので、注意が必要です。女性だけでなくパートナーや家族もワクチンを接種して、妊婦さんに感染させない環境づくりが大切です。特に、1979年4月1日以前に生まれた男性は一度も風疹ワクチンを打っていない可能性があります。まずは抗体価(血液検査で測定)をチェックしましょう。
インフルエンザワクチンは妊娠中も接種できるので、重症化を防ぐために毎年打つようにしましょう。
定期的に健康診断・がん検診を受けましょう
妊娠前の生活習慣が赤ちゃんに影響することも・・・
妊娠前から生活習慣病を抱えている場合、妊娠経過や赤ちゃんに悪影響を与えることがあります。例えば、妊娠前に血糖の状態を表すHbA1c(血液検査で測定)が高い場合は赤ちゃんの先天異常のリスクが、高血圧がみられる場合は妊娠合併症のリスクが高まります。
毎年健康診断を受けるとともに、肥満や家族に糖尿病や高血圧の人がいる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。治療によって病気をコントロールすることで、妊娠経過や赤ちゃんの健康リスクを減らすことができます。
女性は20代から、男性は30代からがん世代
女性は20代から子宮頸がんが増え、30代から乳がんが急増します。2年に1度の子宮頸がん検診と月1回の乳房のセルフチェックを行い、40歳からは乳がん検診も忘れずに。気になることがあれば、専門医を受診しましょう。このように、「乳房を意識する生活習慣」をブレスト・アウェアネスといいます。
このほか、乳がんや卵巣がんの家族歴(祖母・母・姉妹)がある場合も専門医を受診しましょう。
男女ともに、40歳からは肺・大腸がんの、50歳からは胃がんの検診を受けましょう。
かかりつけ医を持ちましょう
女性にとってかかりつけ婦人科医は、あなたのライフプランを尊重し、適切なケアを提供してくれるパートナーです。
特に現代の女性は妊娠・出産回数が減ったことで月経回数が増え、月経に関する症状で日常生活に支障をきたす人が増えています。子宮内膜症を発症する人も多く、なかにはひどい月経痛や不妊に至ることもあります。我慢できない痛みがある人は、気軽に相談してみましょう。
参考
この記事に関するお問い合わせ先
健やか未来部子ども課母子保健係
住所:〒375-8601群馬県藤岡市中栗須327番地
電話番号:0274-40-2268
ファクス番号:0274-22-7502
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更新日:2024年11月14日